韓国最高裁(大法院)で日立造船の敗訴が確定した元徴用工訴訟で、同社が裁判所に預けた供託金6千万ウォン(約670万円)が、20日付で原告側に支給されたと原告側の弁護士が明らかにした。
一連の元徴用工訴訟を巡り、敗訴した日本企業の資金が原告側に渡り、日本企業に資金面で実害が出るのは初めて。
22年に発足した尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は昨年3月、政府傘下の財団が賠償相当額を肩代わりする解決策を発表し、一部原告らが受け入れている。
日本製鉄や三菱重工業など敗訴が確定した他の訴訟では、原告は財団から賠償相当額を受け取る。
日立造船は19年、ソウル高裁の控訴審で敗訴した際、韓国にある自社資産の強制執行を防ぐために約6000万ウォンを裁判所に預けていた。
供託金を預けていたのは日立造船のみで、他社に同様の事態は波及しない。
日立造船は取材に「現時点では事実確認ができていないので、コメントは差し控える」とした。
ソウル中央地裁は支給を認め、原告側は「日本企業による事実上の賠償が行われたことに意味がある」とコメントした。
1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みとしてきた日本政府は「不当な不利益」と反発した。一方、林芳正官房長官は記者会見で「本件は供託金が裁判所に納められていた点で、特殊であり、同種の事案の中で他に例がないものだ」とも語った。
(TOKYO Web、読売オンライン、毎日新聞オンライン、JIJI.COM 2024/2/20 配信)