長崎県対馬市の比田勝尚喜市長は27日、原子力発電所の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定の第1段階となる「文献調査」を受け入れない意向を表明した。
市長は同日午前10時に開会した市議会本会議で、風評被害などデメリットが大きく、現段階では「安全であるという市民の理解を得るのは難しい」と述べた。

同市議会は12日の本会議で、文献調査を受け入れるよう求めた市民からの請願について賛成10、反対8で採択していた。

市長は市議会の決定と異なる判断を下した理由について、主に5点挙げ、市議会と対立することがあっても、受け入れにより深刻化が懸念される市民の分断の回避を重視した。

①市民の合意形成が不十分だ
②風評被害が懸念される
③文献調査を受け入れた以上、次の段階に進まないという考えには至らない
④市民に理解を求めるまでの計画、条件、情報が揃っていない
⑤地震などの想定外の要因による安全性、危険性が排除できない

ただし、住民投票が仮に行われた場合に賛成が多数になった場合は、再度考慮する可能性も残ると述べた。

(日本経済新聞、朝日新聞デジタル、毎日新聞、読売新聞オンライン 2023/9/27 配信)