岸田文雄首相は7日、ソウルの韓国大統領府で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談した。
日本の首相が韓国を訪問するのは5年ぶりで、日韓首脳が相互訪問する「シャトル外交」による訪韓は12年ぶりとなった。


日韓関係改善の動きが軌道に乗ったという認識で一致した。
北朝鮮による核・ミサイル開発をはじめとする国際情勢が、日韓の協力を不可欠にしているとして、安全保障協力を深めていくと強調。


元徴用工問題を巡って首相は「悲しい思いをされたことに心が痛む」と言及。
歴史認識に関しては、植民地支配への反省とおわびを盛り込んだ1998年の日韓共同宣言を含め「歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。この立場は揺るがない」と重ねて表明した。
対日重視路線の尹政権は3月、元徴用工問題で韓国の財団が賠償を肩代わりする解決策を発表していた。


韓国民の関心が高い東京電力福島第一原発の海洋放出計画を巡っては、放出前に韓国の専門家らの視察を日本が受け入れることで合意した。
首相は「科学的根拠に基づく誠実な説明を行っていく」と述べ、処理水の安全性に対する韓国内の根強い懸念に配慮する姿勢を見せ、視察団は23日から派遣される予定。


今月19〜21日に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)も含め、首脳間をはじめとするさまざまなレベルで対話を重ね、関係のさらなる改善や発展につなげていく方針だ。

(毎日新聞、読売新聞オンライン、NHK NEWS WEB、日本経済新聞 2023/5/7 配信)