10月21日(火)の記者会見から2ヶ月後の12月23日(火)、衆議院第1議員会館で「長生炭鉱ご遺骨返還に向けた政府との意見交換会」と記者会見が開かれました。
なんとか意見交換会の最終盤に駆け込み、記者会見を現場で見ることができましたので、遺骨収容に取り組む市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(以下、「刻む会」)の一応援者として感じたことを書き残します。
*当日の意見交換会と記者会見の内容については、本サイト「newseye」に要約をアップしていますので、そちらをご覧ください。
入室した途端、呆気に取られたのは、意見交換会の国側最後に対応していた厚生労働省の担当者が、前回の10月となんら変わらない答弁を繰り返していたことでした。
安全性への懸念と言いつのっていましたが、遺骨鑑定に関して交渉も何も一歩も進めてないこと、現場に足を運ぶことすら行っていないことが明らかになっていました。
広い会場を埋め尽くしていた100名を超える応援者の落胆、いえ憤りは火を見るより明らかで本当に気の毒でした。
しかし、直後に行われた刻む会の記者会見で、井上洋子代表理事や上田慶司事務局長は、「国が遺骨鑑定を行わないならば、民間の自分たちが独自に鑑定し、2026年内に遺骨をご遺族に返す」と不退転の決意を発表しました。
事情をわかっていない一部報道に対しても、刻む会が行おうとしていることは法的になんら落ち度はないこと、逆に国側の不作為は日本政府の責任放棄でもあるといえることが、法学者・前田朗氏から至極真っ当かつ端的に解説されました。
人権擁護の立場から前田朗氏は、その意見書「長生炭鉱遺骨DNA鑑定の正当性と合法性」を公表しており、会見場で配布された資料は下記のサイトでも読めます。
https://maeda-akira.blogspot.com/2025/12/dna.html
これまで水非常の事故を深く知らず、法医学の知識がない人でも、この法的根拠に基づく正当性を知れば、誰しも刻む会の行いを批判できるものではなく、むしろ国側の怠慢を非難するのではないかと思います。
さらに、この数十年間にわたって引き継がれ、不断の努力を続けてきた刻む会の執念が、ご遺骨を探し当てたといっても過言ではありません。
この奇跡ともいえるご遺骨救出劇を国側は嫉妬しているのかとも思います。
また、日韓議員連盟が超党派で動いていることは確かですが、彼らにとっても正念場ではないか、事故現場の地元数人から始まった民間団体がここまでやれたことに対して申し訳ないと思わないのかとさえ思います。
来年の年明け早々、日韓首脳会談が予定されており、その直後の2月始めには世界中からプロダイバーが集結し、大規模な海底探索も行われます。
10月記者会見は新政権発足直後でバタバタしていたと国は言い訳したかったかもしれませんが、次は遺骨鑑定に前向きな姿勢を見せている韓国のトップらが来日します。
日本政府にとっては待った無しの判断が迫られているのです。
私は刻む会応援団の一人として国の動向を注意深く監視し、日韓両国が友好的な隣国になれるよう見守っていきたいと思っています。

