山口県宇部市の海底に位置する長生炭鉱は、太平洋戦争中の水没事故により、朝鮮半島出身者136人を含む183人が犠牲になった歴史を持つ。犠牲者の遺骨を遺族に返還するため、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」などが潜水調査を続け、活動を進めてきた。その結果、2025年8月には海中の坑道跡で人骨4点が発見・回収された。これらの遺骨は警察に引き渡されたが、現時点では身元の特定は行われていない。市民団体は、来年2月に大規模な遺骨収集調査を行う予定である。
11月16日にはソウルで日韓議員連盟と韓日議員連盟の合同総会が開催された。採択された共同声明には、長生炭鉱から見つかった人骨のDNAデータを共有し、身元確認に向けて両国の国会が積極的に取り組むことが盛り込まれた。市民団体は日本政府に対しDNA鑑定などを求めており、潜水調査の安全性の懸念を払拭できるよう考えていくことを韓国政府側と確認した。
この状況を受け、韓国政府は今後の遺骨収容への支援策を模索するため、行政安全部過去史関連業務支援団のチャン・ドンス団長ら5人が11月20日に現地を公式訪問した。団長らは炭鉱の入り口・坑口や排気筒(ピーヤ)を視察し、市民団体の井上洋子共同代表から調査経過の説明を受けた。チャン団長は、団体の取り組みを評価した上で、「政府としてできることがないか考える」、「新しくできることがないか、検討してみようと思う」と述べている。韓国政府側からは、共同のDNA鑑定に向けて日本政府に申し入れをしているという説明があった。
(yab山口、tysテレビ山口、共同通信 2025/11/16,20配信)

