太平洋戦争中に日本人と朝鮮半島出身者ら183人が犠牲となった、山口県宇部市沖の海底炭鉱「長生炭鉱」の事故を巡り、身元特定の動きが進展している。今年8月に海底から人骨4点が回収されたことを受け、人骨を収容した市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は10月21日、事故遺族のDNAデータ31人分を警察庁に提出した。このデータは、朝鮮半島出身者25人分と日本人4人分(計29人分)を含む。
警察庁側は、犠牲者の多くが朝鮮半島出身者であるため、韓国政府と調整した上でDNA鑑定を実施する意向を初めて明確に示した。一方で市民団体側は、骨発見から約2か月経過しても鑑定の責任機関が決まっていない点に懸念を示しつつ、12月19日までの鑑定実施を要望している。今回提供されたデータと韓国政府保有のデータを合わせれば計83人分のデータとなり、これらを活用することで犠牲者183人の半数近くの身元特定が可能になる見込みである。市民団体は、今回のデータ提出を機に、身元特定作業の進展と早期の遺骨返還を目指している。
(yab山口ニュース、毎日新聞デジタル、読売新聞オンライン 2025/10/23配信)