1942年の水没事故で朝鮮半島出身者136人を含む183人が犠牲となった山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」。
以来、犠牲者の遺骨は坑道内に残されたままだったが、市民団体は昨年から潜水調査を継続してきた。
2025年8月25日、潜水ダイバーが水深43メートルの坑道内で骨のようなもの3本や複数の靴を発見し、翌26日には同じく坑道内で人の頭蓋骨のようなものを回収した。
ダイバーは他にも衣服をつけた状態で土砂に埋まった人間の上半身の骨のようなものも確認しており、坑道内には多数の遺骨が眠っていると見られている。
回収された骨は警察に引き渡され、人骨かどうかの確認が進められている。
市民団体は、これらの遺骨を犠牲者の故郷に返すことが日本政府の誠意と責任であると強く訴えている。
しかし、厚生労働省は、現時点では炭鉱の安全性や潜水実施可能性に関する新たな知見が得られていないこと、また犠牲者が「戦没者遺骨収集推進法」の対象ではないとの見解から、財政支援の検討は進めていないと表明した。
一方で、石破総理大臣は、国としてどのような支援を行うべきか検討する意向を示しており、これを受けて厚生労働省も専門家からの聞き取りを進めている。
市民団体は、来年にも海外のダイバーを招いて大規模な調査を実施する予定であり、今回の発見を機に、国による身元特定調査や今後の遺骨収集に向けた現実的な支援を改めて求めていく方針だ。
(毎日新聞、yab山口放送、日テレNEWS NNN、tysテレビ山口、NHK 山口 NEWS WEB 2025/8/26 配信)