山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」では、1942年の水没事故により朝鮮半島出身者136人を含む183人が犠牲となった。
この事故で坑道内に残されたままの遺骨を収集するため、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が昨年から潜水調査を続けてきた。
この調査の中で、今年8月25日に水深43メートルの坑道内で太ももの骨1本と腕の骨2本が、翌26日には人の頭蓋骨のようなものが発見・回収された。
回収された4点の骨について、山口県警は27日に鑑定の結果、「いずれも人骨と確認された」と発表した。
頭蓋骨は下あごのない状態だったと報じられている。
市民団体によれば、坑道内で人骨が見つかるのは今回が初めてであり、ダイバーは他にも複数の骨や衣服をまとった遺体のようなものも確認している。
市民団体の井上洋子共同代表は、人骨と確認されたことの「重み」を感じ、「1日も早く連れて帰ってきたい」と話しており、これらの遺骨を犠牲者の故郷へ返すことが「日本政府の人道的な責任である」と強く訴えている。
同団体と韓国政府は一部犠牲者遺族のDNAデータを保有しており、日本政府に対しDNA鑑定による身元特定を進めるよう働きかける方針だ。
これに対し、厚生労働省は安全性を理由に現時点での財政支援を検討していないと表明しているが、石破総理大臣は国としてどのような支援を行うべきか検討する意向を示していた。
遺骨の具体的な所在が特定された今、日本政府がどのような踏み込んだ対応をとるのかが今後の焦点となっている。
(毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、NHK NEWS WEB 2025/8/27 配信)