山口県宇部市の長生炭鉱では、1942年2月3日に水没事故が発生し、朝鮮半島出身者136人を含む183人の労働者が犠牲になりました。事故後、遺体は収容されず坑道入り口(坑口)が閉鎖されました。地元の市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は、長年にわたり遺骨の調査と収容を国に要請しましたが、国は現時点での調査は困難としています。そのため、市民団体はクラウドファンディングで資金を集め、2024年10月から独自に潜水調査を開始しました。
2025年1月31日からは2回目の本格的な潜水調査を開始。ダイバーが坑口から水没した坑道内に入り、約250メートル先まで調査を行いました。これは、前回の調査よりも約100メートル奥に進んだ結果です。しかし、坑道内部には木材や鉄製の構造物が多数あり、視界も悪いため、手探りで進む必要があり、時間がかかりました。初日の調査では遺骨は発見されませんでしたが、調査は2月2日まで続けられる予定です。
ダイバーの伊左治佳孝さんは、「坑道内の構造物が複雑で、2人以上のダイバーが必要になる場合もある」と指摘しています。また、「構造物を突破するため、抜けられる場所を探しながら進む必要があり、今後の調査でも時間を要する」と述べています。遺骨は一番低い坑口から約350メートル付近にあるとみられており、そこまでの到達が目標となります。
市民団体は、遺骨が見つかった場合、速やかに政府にDNA鑑定や遺族への遺骨返還を求める方針です。今回の調査には、韓国から訪れた遺族も見守り、遺骨発見への期待が高まっています。市民団体は、遺骨収集と遺族への返還実現に向けて、日本政府と韓国政府への働きかけも行っていく方針です。
(NHK山口, BS NEWS DIG, 毎日新聞, YAB山口放送, KRY山口放送 2025/1/31 配信)