太平洋戦争中の1942年、大規模な水没事故で朝鮮半島出身の労働者を含む計183人の犠牲者の遺骨が海底に残されたままとなっている山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」。

遺骨収集を目指す地元の市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は社民党の大椿裕子参院議員と共に、6日、厚生労働省や外務省の担当者らと面会した。

「刻む会」は、クラウドファンディングなどで調査資金を捻出。戦時中の事故直後に閉鎖されていた坑道につながる坑口を9月に開け、10月末には2回の潜水調査を実施。
会見では、10月末に実施した初の潜水調査の結果を伝え、国による現地視察や調査を改めて要望した。

福岡資麿厚労相は前日5日の記者会見で、犠牲者が戦没者には当たらないことなどから、国による調査や、市民団体による調査への協力について否定していた。

「刻む会」の井上洋子共同代表は面会後に記者会見し、国の担当者からは明確な返答はなかったが、状況が変わったことは認識しているとの考えを示した一方、「厚労相がきちんと(問題に)向き合い、安全に遺骨を発掘する方法などを話し合う場を設けてほしい」と訴えた。

例年、事故が発生した2月3日に韓国の遺族を招いて慰霊式を開いてきたが、来年1月末から3日間の再調査を計画しており、遺骨が見つかる可能性があることから前倒しを検討している。

今後も海底に眠る遺骨の収集に向けて市民社会の協力を求め、年内に福岡氏と面会できるよう求めていくという。

(KRY山口放送, NHK NEWS WEB, 朝日新聞デジタル, 読売新聞オンライン 2024/11/6,7 配信)