宇部市にあった海底炭鉱、「長生炭鉱」で82年前に183人が亡くなった水没事故をめぐり、遺骨の収集を目指す団体が近くの陸地で掘削を行った結果、炭鉱の出入り口が見つかったことを明らかにした。
宇部市の長生炭鉱では、太平洋戦争中の1942年に落盤で水没する事故が起き、犠牲者の7割を占めた朝鮮半島出身者136人を含む183人が亡くなり、遺骨は今も残されたままになっている。
遺骨発掘などを目指す宇部市の市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は、炭鉱の入り口「坑口」から坑道内の調査を進めるため、9月19日に坑口を掘り起こす工事に着手。
24日から重機による掘削を進めた結果、事故現場につながると見られる炭鉱の出入り口を見つけ、25日には、地下4メートルほどにある坑口を発見した。
会によると坑口の内側は幅2.2メートル、高さ1.6メートルで、発見されたときはマツの板でふたがされていた。
満潮の時間帯は天井まで浸水するが、干潮の時間帯には水が引いて全体が見えるようになる。
会では、インターネットを通じた呼びかけなどで資金を集めていて、安全対策を進めた上で、今月29日には海面から突き出した排気筒から専門の技術を持つダイバーが坑道に入り、30日には坑口からの潜水調査を行う方針。
その調査直前の26日には集会を開き、韓国側の遺族に現地を案内する予定だ。
井上洋子共同代表は、「出入り口が見つかり感無量です。次の段階では安全に潜水調査を進め、遺骨の一片でも見つけてもらうことを期待しています」と話した。
(NHK山口 NEWS WEB, TBS NEWS DIG, KRY山口放送 2024/10/8 配信)