北九州市門司区の複合公共施設建設予定地で見つかった旧門司駅の遺構を巡り、ユネスコの諮問機関・イコモスが6日、北九州市に遺構の保存などを求める国際声明の文書を改めて提出した。

市は、先月から市議会の意向を受ける形で、遺構のデータを記録した上で取り壊し、今年度中に着工する方針を崩していない。

これに対しイコモス・国内委員会の副委員長を務める九州大学の溝口孝司教授は、世界的にも重要な文化遺産だとして、保護を求める緊急要請「ヘリテージアラート」を出して建設の一時中断や保存に向けた学識経験者らとの協議を求めている。

不在の武内市長に代わり、文書を受け取った建設戦略局長は大切な意見として受け止めるとした一方、老朽化対策は待ったなしだとして事業を推進する方針で、対話に応じるかどうかは明言していない。

<これまでの経緯>
旧門司駅は、1891年に開業し、1914年まで使われていた。
2023年の調査では、初代門司駅の駅舎の外構や機関車庫の基礎の一部が確認された。
これらは、市が門司区で計画する、8つの公共施設を集約した複合公共施設の建設予定地で見つかった。

2024年6月には市議会で複合公共施設の建設を進める予算が成立し、取り壊す方針が決定し、追加調査は年内で終わる見通し。

遺構を巡っては、同年6月、ユネスコの諮問機関であるイコモスが保存を求める最も強い国際声明である「ヘリテージアラート」を北九州市や国に提出しているが、北九州市は全面的な現地保存は難しいと判断し、先月26日から遺構の記録に向けた追加の発掘調査を始めている。

今回の「ヘリテージ・アラート」はイコモスの会長、テレサ・パトリシオ博士から、文部科学相、文化庁長官、福岡県知事、福岡県教育委員会教育長、北九州市長、北九州市議会議長、北九州市教育委員会教育長、JR九州会長に対して出された。

溝口孝司教授は「アラートが出たことは国内外において大変不名誉なこと」とコメントした上で、北九州市、文化庁、福岡県が初代「門司駅」遺構の保存に取り組むにあたり、専門的知識を全面的に提供し、支援するとしている。

(福岡 NEWS WEB, 毎日新聞, テレビ西日本, 日テレNEWS, KBC 2024/9/6 配信)