世界文化遺産の評価を行うユネスコの諮問機関「日本イコモス国内委員会」が19日、都内で会見し、福岡県北九州市の公共事業で取り壊される見通しの旧門司駅の遺構について、協議の場を設けることを改めて求めた。

同委員会は、市の開発事業などに伴い「破壊消滅の危機に 瀕ひん している」として、保存の必要性を訴えた。

遺構は、昨年、市の公共施設建設に伴う発掘調査によってJR門司港駅の東側で見つかった明治期の初代門司駅の関連遺構で、赤レンガが積まれた機関車庫の基礎や駅舎の石垣などが確認された。

市は8月から追加の発掘調査と記録保存を行った上で遺構を取り壊し、施設整備に着手する方針だ。

遺構を巡っては複数の学術団体が国の史跡に匹敵する価値があるとして現地保存を求めているほか、6月末にはイコモスが危機的状況を世界に発信するヘリテージアラートにも言及した緊急声明を出したが、市はイコモスなどが求める対話にはまだ応じていない。

イコモスは、「本来は教育委員会が独立して担うべき文化財保護を補助執行の形で開発行為の当事者である市長部局が行っているのが問題だ」と指摘し、まずは学術団体や専門家との対話に応じるよう改めて求めた。

(TNCテレビ西日本, KBC九州朝日放送, 読売新聞 2024/7/20 配信)