韓国のソウル高等裁判所は4月12日、旧日本軍の従軍慰安婦問題を扱った著書「帝国の慰安婦」で虚偽の記述をして元慰安婦の名誉を傷つけたとして名誉毀損罪に問われた朴裕河(パク・ユハ)・セジョン(世宗)大学名誉教授の差し戻し審で、罰金1000万ウォン(約110万円)とした2審判決を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した。
最高裁判所が2023年10月、「無罪とみるべきだ」として、審理を高裁に差し戻していた。
朴氏は著書で、慰安婦問題を帝国主義下での女性の人権問題と指摘した一方、当時「女性たちは旧日本軍と同志的な関係にあった」とか「自発的に慰安婦になった」などと表現。元慰安婦らは名誉毀損に当たるとして2014年に告訴し、検察が在宅起訴した。
この裁判では学術研究における言論や表現の自由などが争点となり、改めて無罪となったが、朴氏は判決後「告訴されてから9年10か月の間とても大変だった」と支援者に感謝する一方、「表現に関する誤解がとけ、これ以上政治的に利用されないことを願う」と述べた。
また、朴氏はこの問題を巡る民事訴訟では1審の有罪判決を不服として高裁に控訴しており「民事でも正しい判決を下してくれると考えている」と述べた。
(毎日新聞、読売新聞、NHK Web、共同通信 2024/4/12 配信)