沖縄県の玉城デニー知事は18日(日本時間19日未明)、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれている人権理事会で演説し、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対を訴えた。
「日本全体の国土面積の0・6%しかない沖縄には、在日米軍基地の約7割が集中している」と沖縄の実情について、過重な基地負担で「平和が脅かされている」と指摘。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画についても、19年の県民投票で7割超が埋め立てに反対した民意が顧みられていないと批判した。
その上で、日本周辺の緊張を高める軍事力増強への懸念について「沖縄の状況を世界中から関心を持って見てください」と述べた。
今回、玉城氏は人権理事会で発言が認められている非政府組織(NGO)側の参加者として演説。都道府県知事としては初めて翁長雄志前知事が演説して以来、8年ぶりとなる。
また、玉城氏は、米軍基地周辺で健康への影響が懸念されている高濃度の有機フッ素化合物(総称PFAS〈ピーファス〉)が検出されている問題に言及。
同様の問題が起きたハワイの米軍施設では米軍が水質の監視結果を公表することになったが、沖縄では未対応のままであることから、国内外で対応に違いがあることを指摘し、沖縄県内の人権や民主主義の普遍的な問題として訴えた。
一方、ジュネーブ国際機関日本政府代表は玉城氏の演説に対し「辺野古への移設を着実に進めることが、普天間基地の完全返還を可能な限り速やかに実現する唯一の解決策だ」と反論した。
玉城氏のジュネーブ訪問前には、自民党沖縄県連幹部らは「国内の政治問題を公的な立場で国際世論に訴えようとすることは、各国・各機関に無用の誤解を生じさせかねない。」と、言動を厳に慎んでほしいと申し入れていた。
(NHK NEWS WEB、日本経済新聞、朝日新聞デジタル、日本経済新聞 2023/9/20 配信)