米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設工事を巡り、設計変更を承認しなかった県に対する国の是正指示の違法性が争われた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は4日、県の上告を棄却し、国の指示は「適法」とする判決を言い渡した。
裁判官5人全員一致の判断で、県側の敗訴が確定した。

高裁判決は、是正指示の是非を判断するにあたり、県が不承認の根拠として主張した工事の問題点などを具体的に検討した上で訴えを退けたが、最高裁はこうした点には踏み込まず、手続き論だけで県の敗訴とした。

辺野古の埋め立て工事を巡っては、予定海域に軟弱地盤が見つかり、防衛省沖縄防衛局が2020年4月に県に設計変更を申請。
県は調査不足などを理由に承認しなかった。
同局からの審査請求を受け、国は県の不承認を取り消す裁決をし、承認を求める是正指示も出した。

県は22年8月、裁決と是正指示の取り消しを求めて福岡高裁那覇支部に提訴。
同支部は23年3月、いずれも県側敗訴とした。
最高裁は8月、不承認を取り消した国の「裁決」については既に県側の上告を退けていた。

15年以降、辺野古移設に関連して県と国の間では13件の訴訟が起こされ、結論が出るのは今回の判決が11件目。
4件で県と国が訴訟を取り下げ、7件で県が敗訴した。
残る2件も、争点に関して最高裁がこれまでの訴訟の中で既に法的判断を示しており、県の敗訴となる公算が大きい。

知事が確定判決に従わず設計変更を再び承認せず、裁判所が「著しく公益を害することが明らか」と認めれば、国は、知事に代わって設計変更を承認する、地方自治法の「代執行」の手続きに入り、工事を再開できるようになる。
埋め立てが始まっていない北側区域は、工事着手に向けた重大局面を迎える。

(テレ朝news、日本経済新聞、朝日新聞デジタル、毎日新聞 2023/9/4 配信)
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