米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を巡り、設計変更を不承認とした同県の処分に防衛省沖縄防衛局は、7日、行政不服審査法に基づき、斉藤鉄夫国土交通相に不服審査請求を申し立てた。
行政から不当な処分を受けた国民の救済を図る同制度だが、事業主体の防衛省沖縄防衛局が「私人」の立場で訴え、「身内」にあたる国土交通相が是非を判断する。公平性への疑念は根強く、対立の解消は見通せない。
政府が行政不服審査法を利用することについては、行政法学者からも批判の声が根強い。今後は再び法廷闘争に発展する可能性も高いが、「法廷闘争になったとしても、国は知事の不承認処分が裁量権を逸脱していることを立証する必要があり、これまでの訴訟よりもハードルは高い」との指摘もある。
沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は「不承認処分は公平公正の観点から厳格な審査を行った結果で、公有水面埋立法に基づき適正に判断をしたものだ」と強調し、徹底抗戦する構えで知事が承認する見通しは立っておらず、工事の長期化、対立の激化は必至だ。
(朝日新聞DIGITAL、毎日新聞、東京新聞、沖縄タイムス 2021年12月7日配信)