米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画をめぐり、沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は25日、埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事に伴って防衛省が申請していた設計変更を不承認したと発表した。
辺野古沿岸部への移設には、米軍キャンプ・シュワブ東側の広範囲の海域で見つかった軟弱地盤の改良が必須だが、政府は大半の埋め立て工事を進められなくなるため、沖縄防衛局は対抗措置を辞さない構え。
政権幹部は「法廷闘争の前にワンステップある」として今までと同じように事業主体の防衛省から、国土交通相に行政不服審査請求を行うとの見通しを示したが、県と政府の対立は再び法廷闘争に発展するとみられ、2022年1月の名護市長選や秋の知事選に大きな影響を与える。
また、玉城知事は、防衛省が沖縄戦で激戦地となった沖縄本島南部の土砂採取を計画していることについても触れ、「十分な説明を行いまま一方的に、遺骨が残されている場所から採取された土砂を埋め立て工事に使用することは、人道上許されるはずもない。強権的に埋め立て工事を強行する姿に、不安、憤り、悲しみを感じている県民、国民が数多くいる」と厳しく批判した。
■沖縄県が設計変更申請を不承認にした主な理由
・最も重要な地点で必要な調査が実施されておらず、地盤の安定性や災害防止に十分配慮した検討が実施されていない
・ジュゴンや環境への影響を回避または軽減するために採り得る措置が的確に検討されていない
・地盤改良で海底地盤が盛り上がるが、盛り上がる箇所の調査が実施されていない
(朝日新聞DIGITAL、毎日新聞、琉球新報、NHK NEWS WEB 2021年11月25日配信)