韓国で旧日本軍の元従軍慰安婦の女性らが損害賠償を求めて日本政府を訴えた裁判で、ソウル中央地方裁判所は原告の訴えを認め、8日、日本政府に原告1人当たり1億ウォン(約950万円)の慰謝料支払いを命じる判決を言い渡した。
韓国の司法が歴史問題を巡る日本政府の責任に踏み込み、元慰安婦が日本政府相手に起こした訴訟で判決が出たのは初めて。

日本政府は慰安婦問題に関し、1965年の日韓請求権協定で解決済みという立場だ。
2015年には「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意を発表している。
今回の訴訟では、国家は他国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則に基づき、一貫して審理を欠席していた。

しかし、地裁判決は日本政府による「計画的、組織的、広範囲にわたる反人道的犯罪」で国際規範に違反し、主権免除は適用できないと断じた。
「請求権協定と慰安婦合意に原告の請求権が含まれていると見るのは難しく、請求権は消滅したと見ることはできない」と主張。
13日にも、別の元慰安婦らが日本政府を訴えた同種裁判の判決が言い渡される予定。

(参考:毎日新聞、日本経済新聞、東京新聞、JIJI.COM 2021/1/8 配信)