今年4月に行われる大分県知事選挙(3月21日告示、4月7日投開票)には、現職の広瀬勝貞氏(76、無所属)と山下魁氏(42、共産党公認)の2名が出馬を表明しており、この両氏の一騎打ちとなる見通しです。

そこで3月はじめ、Kプラネットが山下氏に単独インタビューした内容を掲載します。

「安倍政治いいなり」の県政を変えよう


山下魁氏


私は、広瀬県政の悪政を変えないといけないという思いで、今回の大分県知事選に立候補し、「安倍政治いいなり」の県政を「くらしと福祉を最優先」の県政に変えることを訴えます。
まず、日本共産党は広瀬県政を評価していません。広瀬知事は自身を「県民党」と謳っていますが、広瀬県政は国政与党の自民党と公明党に支えられており、大分県議会では、事実上、共産党だけが野党となっています。広瀬県政の中身は、ひとことでいえば「国いいなり、大企業優遇、大型開発優先」です。もちろん、県民の世論に押されて、子ども医療費の無料化や少人数学級の実現といった取組が一定程度進んではいますが、全国的にみると、大分県の水準はまだまだ低いと言わざるを得ません。広瀬県政は、大企業立地に熱を上げ、そちらの方には予算を回す一方で、子育てなどの福祉や農業・中小企業に対しては冷たい政策を取っています。



広瀬県政の問題点
「国いいなり」については、例えば、統一地方選と参院選で焦点の一つとなる消費税増税問題に関し、広瀬県政は、「消費税は社会保障や財政運営のためには重要な税目であり、増税は避けては通れないこと」として、消費税増税を一貫して容認しています。
また、昨年12月の日出生台演習場でのオスプレイ訓練の際に、広瀬知事や6市町の市長らが「オスプレイの訓練は受け入れられない」と表明したことは一定程度評価できることです。しかし、最後は「国の専管事項」として国のやることには抗えないという立場を取りました。
「大企業優遇」については平松県政から続いていますが、広瀬県政はこれをさらに推進しており、大企業に対して、誘致補助金をこれまでに172億円(平成30年度5月時点)も投入しています。広瀬知事は、「企業誘致によって雇用が生まれている」と述べていますが、雇用が増えるのは当然です。問題は雇用増加と同時に起こっている撤退やリストラにどう向き合っているのかです。雇用増加の実態は、非正規がかなり多いとわかっています。また、撤退やリストラ問題に関して、広瀬県政が一貫しているのは、企業の経営に対してははっきりとものを言わないということです。直近の事例で言うと、27年に東芝が大分工場を撤退させた際、広瀬県政は「今後とも動向を注視し、情報収集を行っていく」(28年第1回定例会)とし、東芝に対する要請や指導を拒否しました。


「くらしと福祉を最優先」する政策とは
まず、すぐにできることは、国民健康保険の負担軽減です。大分県の場合は県費が投入されていないので、県費も使って国民健康保険に加入している県民の負担を軽減します。
また、こども医療費は、入院・通院ともに中学校卒業まで完全無料化とし、さらに広瀬県政が18年に廃止した子どもの入院食事代の助成を復活させます。中学校卒業までの医療費無料化は10億円ほどあれば実現できることであり、これによって子どもたちが病気になったときにお金の心配をすることなく、すぐに病院に行ける環境を整えられます。
子どもに関わる政策では、小・中学校すべての学年での30人学級の実現も掲げています。広瀬県政は、「小学校3年生から6年生、中学校2年生・3年生、これをすべて30人以下学級にした場合には37億円新たに必要」(30年12月文教警察委員会)とし、少人数学級の拡大に否定的です。しかし、約6,000億円もある県費の中の37億円ですから、努力すれば支出できる金額ではないでしょうか。これまで大企業に172億円もの補助金を投入してきているのですから、その中からこちらに回すことはできるはずです。
中小企業への支援に関しては、住宅リフォーム助成の対象拡大と商店リフォーム助成制度の創設で地元業者の仕事興しにつなげたいと考えています。大分県の場合、住宅リフォーム助成は、耐震化や子ども部屋の改修、高齢者のバリアフリー化に限定されていますが、私はこれを一般リフォームまで拡大し、利用しやすくします。
公共事業のあり方は、従来の大型・新規から防災・更新に転換します。橋などの構造物が建設されて50年以上を経ていますが、そっくり建て替えが必要となるものはごく僅かで、リフォームすることで機能を回復できるものがほとんどです。リフォームであれば大手のゼネコンでなくても地場の企業でも工事ができる規模なので、中小企業の支援にも繋がります。


地方の声を国政へ反映させるために
今年は統一地方選挙と参議院選挙が同時に行われる「亥年(いどし)」であり、統一地方選の結果が7月の参院選に直接影響してきます。私はこの大分県知事選で「安倍政治いいなり」の広瀬県政を終わらせることによって、安倍政権を終わらせる第一歩にしたいと思っています。
すなわち、参院選は政権選択選挙ではないので政権交代が起こることはありませんが、日本共産党は今回の参院選で少なくとも与党議員を3分の2以下に減らし、安倍政権が憲法改正の発議をできなくなるようにすることを目標にしています。この目標を達成するためにも、統一地方選でわが党がしっかりと県民世論に対して統一地方選の政治的意義を伝えるとともに、我々自身も躍進できるような戦いにしたいと思っています。


山下 魁(やました かい)プロフィール


昭和51年12月27日大分県大分郡湯布院町(現由布市)出身。日本民主青年同盟大分県委員会委員長、日本共産党大分県委員会県委員などを経て、現在日本共産党大分県委員会書記長。共産党主催の「資本論」学習会に参加した際に「資本論」の緻密さに感銘を受け、共産党に入党。初出馬は平成17年9月に行われた第44回衆院選大分2区。以後衆院4回、参院3回に出馬。大分県知事選出馬は前回の27年に続き2回目。趣味は山登りで好きな山は祖母山と傾山。座右の銘は「一所懸命」。