6月16日、小倉でドキュメンタリー映画『沈黙-立ち上がる慰安婦』を観ました。
ハルモニ(韓国語でおばあさんの意)が語る「恨」が全編を貫きます。

 

慰安婦問題がなぜ長引いているのかという複雑な背景についても、
国家に翻弄されるハルモニたちの苦悩とともに描いていました。

 

この映画を撮った朴壽南(パクスナム)監督は在日朝鮮人2世という自身の
度し難い境遇を重ね、同世代のハルモニの気持ちに寄り添い、
日韓の国家権力と差別意識に抗う様を粛々と記録しています。

 

同胞との辛い対立も起こり、どれほどハルモニたちを苦しめたのか計り知れません。
それでも、カメラを携えて事実を追いかける根っこは、沈黙せざるを得なかった、
慰安婦たちの事実の重さを世に問いたい一点だったと思います。

 

ハルモニたちの人生を狂わせた戦争を決して許してはならない。
偏狭な民族意識、国家のずるさ、戦争の愚かさ。

 

さらに、監督や慰安婦たちの苦悩と同じくらいに心に残ったのは、
ハルモニたちの現実に向き合って自らの過去を直視して証言した、
陸軍の元軍医と元二等兵だった男性二人の姿勢でした。

 

国家が一つの兵器として慰安所を作り戦争に邁進したのに、
その国家がこの過ちを悔い、慰安婦たちに懺悔・謝罪することを拒否するならば、
個人として謝罪し、時代の証言者としてカメラの前に立ち、時には交渉の現場に立ち会う。
彼らの後ろにも何万人、何十万人の声なき声、沈黙が横たわっているのではないか。

 

埋もれている声や証言を掘り起こし記録することの大切さ。
立ち止まることが許されない時の流れに抗い、
未来のため歴史の真実を記録する大切さを学んだ映画でした。

 

ドキュメンタリー映画「沈黙-立ち上がる慰安婦」FBより

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【監督】朴壽南(パク・スナム)1935年生まれ、在日コリアン2世、神奈川県在住

朴壽南公式サイト  http://nutigafu.wix.com/park-soonam